TRIO Premain Amplifier KA-7300D 修理

2022年2月27日

1977年発売、TRIOのDCアンプ、KA-7300Dをメンテ、修理する機会を得ました。

診断

音が出ない、とのことでお預かりしました。電源を入れてスピーカーをつなぎ、信号を入れたところ音は鳴っています。
大丈夫かと思ったのですが、詳細見ていくと以下がわかりました。
  • 32V p-p (16W程度)で波形がクリップする。マイナス側、Lch, Rch両方
  • Phono 入力でガサガサとしたノイズ。Lchのみ
  • トーンコントロール Bassでクリックノイズ
  • GAIN(アッテネータ)+10dbで動作不良

    修理中にわかったこと
  • 入力切替のロータリースイッチのジョイントに亀裂がありました。

    以上を解析、修理していきます。

    28V p-p (12W程度)では綺麗な波形です。ボリュームをあげていくと、32V p-pくらいでマイナス側がクリップしてきます。


    Phono入力でガサガサ音のノイズがありました。実際の音と波形は次のような感じです。
    Lchのみです。不定期に出たり出なかったりでした。
    04_phono_noise.jpg

    解析・修理

    天板を外します。
    この段階でコントロールアンプ基板(フロント側)に供給されているメインアンプのプラスマイナス50Vとコントロールアンプに供給されるプラスマイナス25Vが露出するので測定可能な状態になります。測定したところ、プラスマイナス50Vは正常、プラスマイナス25Vはプラス側は正常、マイナス側は0Vでした。
    コントロールアンプ基板を修理しないといけないので解体をさらに進めます。ボリュームはじめ全ノブを外します。
    フロントパネルを外します。皿ビス、下2本のタッピングビスでとまっています。
    フロントパネルを外すとボリューム、ロータリースイッチを止めている6角ナットがあるので全部はずします。各種スイッチはビスで止まっているのでそれも外します。
    これでコントロールアンプ基板が外せる状態になります。


    ここまで分解する前にわかっていましたが、コントロールアンプに供給するプラスマイナス25Vので電源部が黒くすすけており、電解コンデンサの周囲も液漏れのような痕跡があります。(実際は液漏れではなく電解コンの振動防止のために使われていた接着剤の跡のようです)


    レギュレータとして使われているPNP 2SA755のCE間オープンです。BE間も順方向流れません。交換を要します。
    マイナス側だけの故障ですが、プラス側も同時に部品交換してメンテします。
    レギュレータのTrは日立製の2SA755 2SC1419ですが廃版なので同定格のものを探しました。Sankenの2SA1725 2SC4511がIc, VC, Pc共に元のTrより定格が上で、パッケージもTO220Fで絶縁タイプなので使いやすいです。
    1次側と2次側の平滑の電解コンデンサ2種類、ツェナーダイオード(25V品がなかったので24V)を交換。ツェナーは元々富士の500mWがついていましたが、温度環境があまりよくないようだったので、余裕をもたせる意味で1W品にしました。On Semiの1N4749A (24V 1W)です。2次側の平滑の電解コンデンサはなぜかプラス側が220μF、マイナス側が330μFでした。理由は不明ですが、設計時に基板スペースの制約があったのかもしれません。当時の電解コンデンサは今より大きかったですから。1次側平滑の電解コンデンサは印加されている電圧が40V最大あるのに、定格は35Vでした。定格以上で使っていた可能性がありますね。


    次はトーンコントロールのBass側がLchがクリックノイズがありました。接点復活剤を塗布したのですが改善せず。ボリュームにかかっている電圧を測定したところ、Rchはゼロですが、Lchは若干(0.2Vくらい)のDCが出ていました。おそらくカップリングコンデンサ、パスコン等の劣化(抵抗成分増加)に伴うDCリークだと思われたので、信号回路の全電解コンデンサを交換しました。症状はLchだけでしたが、Rchの分も交換しました。



    次はPhonoアンプの不具合修正です。
    ガサガサ音というノイズ現象はこの種のトランジスタアンプではよくあることのようで、いくつかのネット記事を参照しました。
    電子部品が半分壊れるとか劣化?というのはなかなか理解しにくいですが、実際にはトランジスタ劣化というのがあるようです。 症状はLchのみでしたが、両Ch 全FETとTr 18個、さらに信号回路と電源リップル除去の電解コンデンサも全て交換しました。


    入力切替にはロータリースイッチが採用されていますが、背面のPhonoアンプ基板に取り付けられています。
    それをフロント側で切り替えるために、シャフトが延長されています。
    S/N劣化の原因となるためできるだけレベルの低い信号を引っ張りまわさないというコンセプトで当時結構はやった手法だと思います。
    シャフトの延長には樹脂製のジョイントが用いられていますがネジ部の近傍にクラックが見つかりました。一応動いていますが、このままだと割れが進行し動かなくなる可能性があります。
    ジョイントを取り外し、割れに瞬間接着剤を浸透させ、外周はフィクサーで押さえました。


    1点アース(シャーシアース)のアース線引き回しの改善
    シャーシアースはメインアンプからのアース線、コントロールアンプからのアース線がプリイン、パワーインの入出力端子のところでアースされています。ところが、この3つ集まるところの線に余裕がなく基板修理のときにかなり手こずりました。一旦、半田付けを外して、メンテしやすいように、アースターミナルを取り付け、ビスナットで取り付ける方法にしました。


    GAIN(アッテネータ)+10dbで動作不良については、切り替えスイッチに接点復活剤塗布し、馴染ませたところ正常になりました。

    検証

    発振器から信号を入れて動作確認。SPにダミー抵抗つけて、65W程度までスイングさせてエージング。放熱板はかなり熱くなりましたが問題なし。
    音楽信号もいれて聴感上の問題がないかも確認。Phono入力、トーンコントロールも確認しました。

    この頃のアンプは趣がありますね。
    65W+65Wという出力は不要のようですが、上限に余裕があるというのは、やはり一瞬のピークでもしっかり応答できるということでそれが良い音につながるのでしょう。良いスピーカーシステムをつなげれば素晴らしいオーディオになると思います。
    Phono入力は発振器のみでのテストでした。ノイズは出なくなりました。今後も出ないことを願います。実際にレコードプレーヤのカートリッジの音を聞いてみたいですね。
    なかなか面白い修理でした。ありがとうございました。

    交換部品

    交換した部品です。


    交換部品リストは [ こちら ] PDFファイルです

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