
三洋電機労働組合 機関誌 You&I 1995年11月より
You & I No.34 1995年11月 ボランティア情報
障害者との自然な付き合いが楽しい 「羊の会」と秋吉恒一郎さん(大東)

ボランティアというと、「困っている人を助けてあげること」だと思っている人が多いのではないでしょうか。ところが実際にボランティアをしている人に話を聞いてみると、ほとんど「助けられているのはむしろ私のほうだ」という感想をもっていることに気づきます。「羊の会」の一員である秋吉恒一郎さん(AV事業本部テレビ事業部LCD販売部販売二課)もその一人です。
はじまりは学生サークル
「羊の会」は、障害者の外出を援助することを目的とした、ある大学のサークルとして出発しました。1967年のことです。その年が羊年だったのでこの名前が付きました。やがて学生は卒業し、大学のサークルはなくなりましたが、「羊の会」そのものは残り現在に至っています。入会手続きや登録など、形式ばったことは何もしていません。でも、よいことは口コミで広まるもので、集まってくる人は秋吉さんの言葉を借りれば、「みんな個性的で魅力的な人ばかり」なのだそうです。
年に一度だけ参加する人あり、一度着てそれっきりの人ありと、出入りはまったく自由です。「羊の会」では、障害者を「メンバー」、その他の人たちは文字どおり「ボランッティア」と呼びますが、ほぼ継続的に参加するメンバーは20人から30人。バランティアは40人から50人です。
「介助の中心は、食事とトイレですね。時間も体力もいりますが、メンバーの1.5倍のボランティアがいればだいじょうぶですよ」と秋吉さん。
年間スケジュールは決まっていて、2月がショッピングや映画鑑賞。4月は花見。6月はバーベキューやハイキング、ショッピングなど。8月は海水浴などの合宿。10月はバーベキュー。12月にはクリスマス会が予定されています。
自分を活かしたい
秋吉さんが「羊の会」参加するようになって5年が過ぎました。直接のきっかけは高校の恩師のすすめです。しかし、「来てみないか?」という呼びかけに、「じゃあ、行ってみようかな」と、簡単に乗れたのには理由がありました。
20代のはじめ頃、自分の将来図を描こうとして秋吉さんはあせりました。一生懸命学んだものがほんとうに活かせるかどうか、何も見えてこないのです。「このままではいかん」。不安だけが頭の中を堂々めぐりします。
大学院在学中にイギリスに語学留学したのも、帰国後、修士論文を書きながら海外青年協力隊に応募したのも、自分を活かす道を探すために必要なことでした。遠回りにはなりましたが、その体験があったから、今の秋吉さんがいるともいえるのです。ですから、恩師の言葉は唐突なようで、実は渡に船だったのかもしれません。それに、人とかかわるのが好きな秋吉さんと「羊の会」はとてもフィットしました。
とにかく楽しい
最初に参加したのは、三洋電機に入社した年の8月に行われた、海水浴からでした。初日はやはり緊張ぎみ。多少の気負いもあったのでしょうか。でも2日目からはすっかり打ち解けたといいます。「もう、とにかく楽しかった。それに、これを言うのはテレるんですが、感動しましたね」。
そこには障害者、健常者の垣根がありませんでした。口で説明するよりも、といって見せてくれた写真、「ね、みんないい顔しているでしょう?」。ほんと、子供たちもいっぱいいて、総勢7、80人もいるのでしょうか。なかに車椅子が8台ほど混じっています。「仲間が家族ぐるみで海水浴に来ていて、そのなかには障害者もいる。そんな光景なんですね」。
負担に感じたら相手に失礼
「おっちゃん、なんで車椅子にのってるの?」「なんで、松葉杖なの?」「どこがわるいの?」と、子どもだち。それに答えるメンバーたち。こういう子どもたちなら、大人になっても障害者と自然につきあえるんだなと、秋吉さんは思います。
「僕は楽しいからやっているにすぎません。自分を犠牲にしてやるなんて、メンバーに失礼ですよ。」
いつまで続けるつもりですか? なんて、愚問を発しないでよかった。友だちと会うのに、いつまで会い続けるのか決める人などいないのですから。三洋電機に働くあなた、いちど秋吉さんと「羊の会」まで出かけてみませんか?今なら、クリスマス会に間にあいますよ。
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